やまごやさとう【山小屋 佐藤】
元箱根から少し山に入った場所にある「山小屋 佐藤」。知らないと通り過ぎてしまうような路地を入ると4台ほどの駐車場と看板が現れます。
その脇の林の中に建つ一軒家は、普通のカフェとはちょっと違う、「箱根の自然と親しむ」ための空間です。
店主の佐藤さんは、森林インストラクターでもあり、箱根の自然と歴史にはかなり詳しい方。というのも、小田原にある「神奈川県立生命の星・地球博物館 」という自然史博物館の設立時から、友の会に関わり、サラリーマン時代から、休日になると早川水系の自然と歴史の探訪などの観察会をしてきたのだそう。
そんな佐藤さんが早期退職をした時に見つけた場所がここ。「本当にジャングルのようだったんです」という林の中に、できるだけ自然の木を残して道をつけて家を建ててあります。
そんな自然の場所だけに、野鳥もたくさん姿を見せます。朝9時の開店ごろ、佐藤さんが店の準備をしつつ庭の餌台に餌を入れると、10分もしないうちに入れ替わり立ち替わり野鳥が飛んできます。
春から秋には晴れていればテラスや林の中でコーヒーを飲みながらくつろぐこともできます。
店内には箱根の地形図や古地図があったり、並んでいるパンフレットを見ても、一般的な観光パンフレットではなく、ジオミュージアムやハイキングものが充実。
また、前を通る道は鎌倉時代の主要道で、さらに100メートル先には江戸時代の石畳があります。そんな立地を「時代をまたいだ街道の分岐点のような場所」だと考え、旅人がちょっと足をとめて休める茶屋のようなイメージで、コーヒーなどを出すようになったのだとか。
メニューはホームメイドのケーキとコーヒー、それに「山のハーブティ」と名づけられたお茶のみ。
ケーキとコーヒーのセットで500円、コーヒーや紅茶だけなら300円と格安で出しているのも、箱根という土地について知ってもらうきっかけになれば、という思いがあるからこそです。
「箱根のハーブティ」は、敷地内に自生する黒文字の木の新芽を摘んで乾かしたもの。
黒文字は和菓子の楊枝などに使われる木で、里山十帖でもたまにハーブティとしてお出ししていますがその香りの良さは抜群!
実は、江戸時代に出島に居た外国人が日本の植物を採取していますが、黒文字は箱根産のものを標本木として持ち帰ったのだそう。そんな歴史についても聞きながら香り高いお茶を楽しんでください。
メニューの看板に「箱根語り※※円」とある通り、佐藤さんと会話を楽しみながら、箱根での観光の予定を立てたり、巡ってきた場所の昔の姿を知ったりと、観光地として通っただけではなかなかわからない箱根の姿を感じられる、ちょっぴりディープなカフェです。
(2017年11月30日現在の情報です)
住所 神奈川県足柄下郡箱根町元箱根103-450
電話 090-3382-2561
営業時間 9:00〜16:00
定休日 不定休
アクセス 箱根湯本から箱根登山バス「畑宿経由元箱根港行」で約30分「旧街道口」下車、徒歩1分。箱根本箱から車で20分